はじめに|空腹の中にある、静かな変化
漫画『トリコ』で「オートファジー」という言葉を初めて知った。
細胞が自分を食べて生き延びるという仕組み。正直、そのときは「なんかすごそう」くらいの印象だった。
実際に16時間断食を取り入れるようになってから、「これがオートファジーか…!」と思った瞬間はない。
でも、あるときふと気づいた。
「あれ、そういえば今年…花粉症出てない。」
昔は毎年、目が痒くて薬が手放せなかったのに。
睡眠、断糖、筋トレ。色んな習慣を変えてきたけれど、空腹の時間を作ることが一番大きな転機だったのかもしれない。
オートファジーは、飢餓という人類の進化の前提に組み込まれた“生き延びるための仕組み”だ。
そしてそれは、静かに、でも確かに僕たちの体を内側から整えてくれているのかもしれない。
こんな人に向けて書いています
- オートファジーって聞いたことあるけど、正直よくわからない人
- 断食に興味はあるけど、体に本当にいいの?と半信半疑な人
- 最近なんとなく体調が悪いけど、何から変えればいいかわからない人
- 花粉症などのアレルギー体質に悩んでいて、薬以外の方法を探している人
- 食事・睡眠・運動などを整え始めたけれど、「これ意味あるの?」と不安になる瞬間がある人
「オートファジー」って、トリコで聞いたことあった
「オートファジー」という言葉を初めて知ったのは、漫画『トリコ』のあるシーンだった。
細胞が自分自身を“食べる”ことで生き延びる――そんな説明があったと記憶している。
当時は、「飢餓状態で自分の体を分解するシステム」くらいのざっくりした理解で、
まさか自分の生活に関係してくるとは思っていなかった。
でも、ここ最近になって話題になっている“16時間断食”や“ファスティング”の中で、
この言葉がまた出てきた。
「オートファジーを活性化させると、老化防止になる」
「空腹時間に細胞が掃除されて体が整う」
――なるほど、あのとき漫画で見た“生き延びるための細胞の仕組み”が、
実は人間の体の中で、日常的に働いていたのかもしれない。
ただ、やってみて思ったのはこうだ。
オートファジーって、体感できない。
集中力が上がるとか、体が軽くなるとか、そういう変化は感じるけど、
「今、オートファジーが働いています!」みたいな明確な瞬間はない。
でも、だからこそ、次の気づきが自分にとっては大きかった。
実際に体感はあるのか?
オートファジーの話を聞いて、「細胞が蘇る」とか「若返る」といった言葉を目にすると、
つい期待してしまう。
「何か劇的な変化が起きるんじゃないか」って。
でも、現実はもっと地味だ。
僕自身、16時間断食を続けていても、「今オートファジーが働いている!」という感覚は一度もない。
体の中で何かが起きている“気配”は感じないし、
細胞が再生されている様子がわかるわけでもない。
だけど、ある日ふと気づいた。
「あれ、今年…花粉症出てないぞ?」
毎年春になると、くしゃみ・鼻水・目のかゆみで薬が欠かせなかった自分が、
今年はまったく症状が出ていない。
最初はたまたまだと思った。
でも、よく考えてみたら、この生活を始めてからずっと、
風邪をひくこともほとんどなくなっている。
これがすべてオートファジーのおかげとは限らない。
16時間断食に加えて、糖質制限、睡眠の最適化、筋トレ、加工食品の排除…
いろんなことを試してきたから、どれが決定打かはわからない。
でも、共通しているのは、
「体に余計なものを入れず、余白をつくる」という姿勢だ。
オートファジーは、そうした“余白”の中で静かに働く仕組み。
僕の中で「目に見えないけど、確かに何かが整った」と感じられる最初の瞬間が、
この花粉症が消えたという出来事だった。
花粉症だけじゃない。もうひとつ印象的な体験がある。
普段はめったに風邪をひかないけれど、仕事が忙しくて疲れが溜まったとき、
「あれ、ちょっと風邪っぽいな」と感じることがある。
昔なら、そのまま悪化して長引いていた。
でも今は、あえて何も食べず、1日〜2日断食して様子を見る。
すると不思議なことに、翌日にはスッと回復していることが多い。
薬も飲まないし、病院にも行かない。ただ休むだけ。
野生動物が怪我や病気のとき、洞窟の奥でじっと動かずに治るのを待つ――
あの本能的な行動と同じことを、自分の体にもしてあげている感覚だ。
人間はすぐに「栄養のあるものを食べなきゃ」と思いがちだけれど、
実は食べずに“消化を休ませること”こそが、最大の治癒行為なのかもしれない。
そう気づいてから、もう何年も病院には行っていない。
体が本来持っている力を活かす――断食は、そのスイッチなのだと思う。
オートファジーの正体|細胞が“自分を食べる”しくみ
オートファジー(autophagy)という言葉は、
ギリシャ語の「auto(自己)」と「phagy(食べる)」を組み合わせたものだ。
直訳すると「自分を食べる」。
この言葉の通り、オートファジーとは、細胞が自分自身の一部を分解・再利用する仕組みのこと。
不要になったタンパク質や壊れたミトコンドリアなどを分解し、
エネルギーに変えたり、新たな細胞構成に再利用したりする。
つまり、オートファジーは体の中の掃除屋のような存在だ。
たとえるなら、壊れたパーツを分解して修理する工場。
新品を取り寄せるのではなく、あるものをリサイクルして使う。
この仕組みは、2016年に大隅良典博士がノーベル賞を受賞したことで、一気に注目された。
飢餓やストレスなどの状況下で特に活性化されることがわかっており、
今では老化防止や病気予防にも関わる“体のメンテナンスシステム”として語られている。
特に注目すべきは、免疫系との関係だ。
オートファジーは、免疫細胞(T細胞やマクロファージ)の質を整える働きも持つ。
暴走気味の免疫をリセットする、いわば「免疫の再編成」的な役割もあるとされている。
実際、花粉症や風邪が改善されたのも、
体の中でこの静かなメンテナンスが進んだ結果なのかもしれない。
オートファジーは、目に見えないけれど、
“細胞という小さな単位”から体全体を整える、まさに根本的な仕組みだ。
飢餓前提で設計された人間の体
人間の体は、本来「飢えること」が前提で設計されている。
僕たちの祖先は、1日3食どころか、食べ物にありつける日さえ不確かな生活をしていた。
狩りに失敗すれば、丸1日、いや数日間なにも食べられないことだって普通だった。
そんな中で生き延びるために備わったのが、オートファジーのような仕組みだ。
外から栄養が入ってこないとき、自分の中にある“使っていないパーツ”を分解してエネルギーに変える。
それによって体内のゴミを処理しながら、次のチャンスを待つことができる。
これが僕たちの体に標準搭載されている。
でも、現代は違う。
いつでもどこでも、食べようと思えば食べられる。
3食どころか、朝食・おやつ・昼・カフェ・夜・飲み…
一日中、消化しっぱなしという人も少なくない。
体にしてみれば、「飢えてる時間がない=オートファジーが働く暇がない」という状態だ。
よく言われる話だが、
飽食の時代に生きる僕たちは、“栄養が足りない”のではなく、“休む時間が足りない”のかもしれない。
つまり、食べることをやめる時間を意識的に作ることが、
進化に沿った生活を取り戻す手段になる。
断食とは、最新のトレンドではなく、
人間の体にとって“ごく自然なリズム”なのかもしれない。
生活習慣の改善と、オートファジーの静かな恩恵
オートファジーは、「飢餓状態のときに活性化する」と言われている。
でも実際は、もっと複雑で、もっと地道なものだと思っている。
僕自身、断食以外にもさまざまな生活改善を行ってきた。
- 16時間断食(1日2食)
- 糖質の大幅カット
- 加工食品をほとんど食べない
- 朝の散歩、ジム、筋トレの習慣
- 十分な睡眠、カフェインの制限
- 腹八分目を意識した食事
どれか一つが決定打になったというより、これらを積み重ねた結果、体が整ってきたという感覚がある。
そしてその裏で、オートファジーのような「静かで、目に見えない仕組み」が着実に働いていたのかもしれない。
体調が大きく崩れることがなくなり、
風邪も引かず、
花粉症も消え、
頭の中もいつもより澄んでいる日が増えた。
派手な変化じゃない。
でも、「ずっと不調がない」って、ある意味では一番大きな変化だと思う。
オートファジーの恩恵は、“じわじわと効いてくる”
実感は薄くても、「なんか調子いいな」という日が増えてくる
その積み重ねが、数ヶ月・数年後の“別人のような体調”をつくる
そんな風に捉えている。
まとめ|実感はなくても、変化はある
オートファジーという仕組みは、
派手さもないし、目に見える効果もすぐには出ない。
でも、
体が本来持っている力を引き出すための“裏方”として、確かに働いていると感じている。
実際に、自分の中で起きた変化は確かだ。
- 花粉症が出なくなった
- 風邪を引かなくなった
- 疲れにくくなった
- 思考がクリアな日が増えた
どれも「これがオートファジーの効果だ!」と断定はできないけれど、
“食べない時間”を取り入れてから、何かが変わったのは確かだ。
むしろ、
「劇的な効果を期待しすぎないこと」こそが、断食を長く続けるコツなのかもしれない。
オートファジーは、
何かを詰め込むのではなく、
余白をつくることで働き出す。
だから僕は、これからも食べない時間をつくりながら、
静かに体が整っていくのを見守っていこうと思う。
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