はじめに | 空腹の中で澄んでいく
24時間断食、つまり“1日1食”の生活に慣れてくると、
「空腹はつらいもの」という感覚は、次第に薄れていきます。
むしろ、体は軽く、集中しやすくなり、頭も静かになります。
あの独特のクリアな感覚を、もっと深めたいと思うようになりました。
そこで浮かんだのが、「自分はどこまで食べずにいられるのか」という疑問です。
48時間――完全に何も食べない2日間。
以前なら、それは修行僧の世界だと思っていました。
しかし実際に挑戦してみると、それは“科学的な変化”に支えられた体験だとわかりました。
たとえば、空腹状態が続くと成長ホルモンの分泌が高まり、
体は筋肉を守りながら脂肪を燃やすモードに入ります。
さらに、ケトン体という脳の代替燃料が使われ始め、
思考がクリアになり、集中力が高まります。
こうした生理的な変化の中で、
“食欲”にまつわるあらゆるノイズが、静かに遠ざかっていきます。
ただ食べないだけなのに、心はどこまでも穏やかでした。
今回は、そんな48時間断食のリアルな体験を、記録として残しておきたいと思います。
前の記事 第二弾 24時間断食|“食べない1日”の解像度断食0〜12時間|“空腹で寝る”がしっくりきた夜
今回の断食は、木曜の昼過ぎに最後の食事を済ませてスタートしました。
夜に「食べない」予定があるだけで、少し気持ちが軽くなるのが不思議でした。
いつもなら「何を食べようか」と無意識に考えていた時間が、ただ“空白”として現れ、むしろ心地よく感じられました。
以前から、夜はなるべく胃を空にして眠ったほうが良いという話は聞いていました。
空腹で眠ることで成長ホルモンの分泌が促されると知ってから、
「食べずに寝る」という選択が、自分の中で少しずつポジティブなものに変わっていきました。
思い返せば、キックボクシングのクラスに通っていた頃は、
夜のトレーニング後に疲労回復のため、プロテインや糖質などをたくさん摂るのが“正解”だと思っていました。
しかし、ある日あえて何も食べずに空腹のまま眠ってみたところ、
翌朝、体が驚くほど軽く感じられました。
そのとき初めて、「食べなければならない」という思い込みに気づきました。
その経験があったため、今回も夜に食べないことは特にストレスになりませんでした。
空腹感はありましたが、すぐに落ち着き、「食べるかどうか」を考えなくて済むだけでも、頭が静かになりました。
断食12〜24時間:軽さと集中がじわじわ立ち上がる
朝、目が覚めた瞬間に「今日は動ける」と感じました。
体が重くてもう少し横になっていたい、という感覚がまったくありません。
まぶたは軽く、目の開きも良い。
寝起き特有のぼんやりした感じがなく、すぐにスイッチが入りました。
断食を始めてまだ1日も経っていませんが、すでに“いつもと違う朝”です。
朝食を食べないことが前提になっているため、何を食べるか悩むこともありません。
その分、頭の中がすっきりしていて、自然とやるべきタスクに向かえます。
無駄にスマホを触ることもなく、気づけば作業が始まっているような感覚でした。
ちなみに、私の断食スタイルは“水分・電解質ありの断食”です。
固形物は一切摂らず、水分やミネラルは意識的に補給しています。
朝は、無糖の炭酸水に次の材料を加えた“特製ドリンク”を飲んでいます。
- レモン果汁(ストレート)
- ナトリウム量が少なめの塩※
- MCTオイル※
さらに、ルイボスティーも常に手元に置いています。
このレモンドリンクは、普段の16時間断食のときも毎朝の習慣です。
飲んだ瞬間から体が目覚めるような感覚があり、今回の48時間断食でも安心できる存在でした。
※塩は、裏面の栄養成分表示を見てナトリウム量が少ないもの=他のミネラルが豊富なものと判断して選んでいます。
※MCTオイルは少量でも腹を下しやすいため、人によっては注意が必要です。このあたりは別の記事で改めて深掘りする予定です。
断食24〜36時間:ノイズが減っていく午後
昼を過ぎても、集中は途切れませんでした。
いつもなら昼食後に少しダレたり、軽く眠気がくる時間帯です。
しかしこの日は、終始静かなまま、落ち着いた集中が続いていました。
お腹が空いている感覚はあります。
それでも「食べたい」と強く思うことは、不思議とほとんどありません。
食べることを考えない時間が自然に続き、それがむしろ心地よく感じられました。
スマホを触る頻度も減り、余計な刺激を求めなくなっていました。
不思議だったのは、目の前の作業にスッと入れることです。
何かを始めるのに気合は必要なく、自然に取りかかり、気づけば2時間近く経っていることもありました。
「集中している」と意識しているわけではないのに、
ただ静かに、深く、目の前のことが進んでいく感覚でした。
体感としてひとつ気づいたのは、少し冷えやすくなるということです。
寒いというほどではありませんが、手足の先がほんのり冷える感じがあります。
おそらく血糖値が安定している影響かもしれません。
気になる方は、軽く羽織れるものを準備しておくと安心です。
最初に48時間断食をやってみようと思ったとき、
「24時間を超えたあたりで何か大変なことが起こるのではないか」という不安は正直少しありました。
しかし実際は、拍子抜けするほど普通でした。
むしろ、少しずつ軽く“ハイ”になってくるような感覚があり、
頭が冴え、集中できて、心も穏やかという不思議なコンディションに入っていきました。
このあたりから、「もう少しこのままでいたい」と思えるようになります。
食べないことが、特別でも我慢でもなく、“自然な状態”に感じられていました。
断食36〜48時間:静かに満ちていく時間
36時間を過ぎたあたりから、気分に変化がありました。
身体や集中の感覚は、24〜36時間の頃と大きく変わりません。
むしろ、その状態が安定して“持続している”ことに、少し驚きました。
変わったのは、気分の方向性です。
何を考えてもポジティブにとらえられ、やりたいことが自然に浮かんできます。
ブログでも仕事でもプライベートでも、どんなテーマでも前向きに考えられました。
「あれもやってみたい」「これもできるかもしれない」という気持ちが止まりません。
無理にテンションを上げているわけではなく、内側からエネルギーが湧いてくる感覚です。
軽く“無敵”になったような気分さえありました。
こうした状態は、おそらく脳内ホルモンのバランスが整っているからだと思います。
- ケトン体
断食が続くと、体はブドウ糖に代わるエネルギー源としてケトン体を使い始めます。
ケトン体は脳をクリアに保つ燃料ともいわれ、思考の冴えや集中力を支えてくれます。 - ドーパミン・ノルアドレナリン
“やる気”や“集中”を生むホルモンが高まりやすくなります。
これらは「ひらめき」「やる気」「未来志向」を後押ししてくれる神経伝達物質です。
しかも血糖値が安定しているため、その高まり方もじんわりと持続します。 - セロトニン
分泌が整うことで精神的に落ち着き、イライラや焦りが減ります。
感情が安定し、ポジティブな思考を保ちやすくなります。
こうした要素が重なり、気がつけば「食べなくても、今のままで大丈夫」という気持ちになっていました。
48時間という区切りが近づいていることは分かっていましたが、
「もう少しこのままでいたい」とさえ思っていました。
おわりに|“食べないこと”で、満たされていた
断食を始めてから、すでに48時間が経ちました。
しかし正直、まだ終わりという感覚はありません。
このまま続けようと思えば、あと1日くらいは自然に過ごせると感じています。
48時間という節目を通過して最も強く感じたのは、
「食べないことで、これほどまでに集中できるのか」という驚きです。
やりたいことが次々に浮かび、体は軽く、頭の中には無駄な雑念がありません。
それだけで、1日がとても充実した時間に感じられました。
食べ物への執着は少しずつ減り、
一方で「いただくこと」への感謝はじんわりと増しています。
この感覚を持てただけでも、やってよかったと思えます。
たまにでいいので、また48時間断食をやりたいと思いました。
集中力のブーストとしても、心身を整える手段としても、これは強力な“リセット”です。
これは48時間に限らず、もっと短い断食にも言えることですが、
断食を日常に取り入れると、肌の調子、体の軽さ、メンタルの安定、風邪を引きにくくなる感覚など、確かな変化を感じるようになります。
もちろん、断食をしているからといって、その分ジャンクフードを食べていいわけではありません。
日々の食事と向き合う意識も含めて、“食べないこと”の価値を、少しずつ体で理解し始めている気がします。
※今回は、72時間断食の途中経過として「48時間断食」時点の記録を残しています。
本来であれば重要な回復食や断食後の体調変化については含んでいません。
今後あらためて48時間断食を単体で実施した際に、回復フェーズも含めた完全版として記録を残す予定です。
✴ 次回予告|断食オタクの好奇心が、72時間を呼んだ。
48時間を終えても、まだ終わりではありませんでした。
むしろ、「このままもう1日いけるかもしれない」という静かな確信がありました。
どこまで続けられるのか。
そして、その先で体と心にどんな変化が現れるのか。
ただ、それを確かめたかったのです。
次回は「72時間断食」実践編。
48時間の先にあったのは、予想通りでありながらも、体感としては新鮮な時間でした。
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