糖質 vs 脂質|人間の本来のエネルギー源を考える

健康習慣

はじめに

私たちは日常的に「糖質は大事なエネルギー源」と教わってきました。朝食のパンやご飯、昼食の麺類、夕食のご飯…。日本の食文化は、子どもの頃から糖質中心の食生活を前提としています。
しかし、進化の歴史をたどると、私たち人間の体はもともと糖質ではなく脂質を主な燃料として活用するようにできています。

本記事では、進化の視点や体の仕組みから、「糖質」と「脂質」、どちらが本来のエネルギー源なのかを整理します。

こんな人に向けて書いています

  • 糖質制限やケトン食に興味がある
  • 健康や体調管理のために食生活を見直したい
  • 「糖質は必須」という考え方に疑問を持っている
  • 狩猟時代と現代のギャップに興味がある

人間の進化とエネルギーの使い方

狩猟採集時代と農耕時代の時間比率

人類の歴史をざっくり分けると、狩猟採集時代が圧倒的に長く、農耕時代はほんの一瞬です。
おおよそで言えば、狩猟採集が数百万年、農耕はわずか1万年ほど。比率にすると「99:1」どころか、それ以上に差があります。

進化は数千年単位ではほとんど変わりません。つまり、現代の私たちの体はいまだに狩猟採集民の設計図のままなのです。

人間のエネルギー貯蔵庫の特徴

脂質は大容量、糖質は小容量

体内に蓄えられるエネルギー量は、圧倒的に脂質のほうが多くなっています。

種類貯蔵場所体重70kg男性の平均貯蔵量カロリー換算
糖質肝臓・筋肉(グリコーゲン)約500g~600g約2,000~2,400kcal
脂質体脂肪約10~15kg(体脂肪15~20%の場合)約90,000~135,000kcal

脂質は糖質の40〜50倍以上のエネルギーを蓄えられる計算になります。
これは「長期間食べ物が手に入らない」環境で生き抜くための仕組みです。

糖質は補助燃料、脂質が主要燃料

使われる順番

体はまず糖質(グリコーゲン)を優先的に使います。その後、糖質が減ってくると脂質を分解してエネルギーにします。
ただし、狩猟時代の食生活では糖質の摂取頻度は低く、ほとんどの時間を脂質メインで活動していたはずです。

インスリンと血糖値の話

血糖値を下げるホルモンは1種類だけ

血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけ。
一方で、血糖値を上げるホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなど)は複数あります。

これは「血糖値が上がることは想定外」であり、「むしろ血糖値を上げる必要がある状況が多かった」ことを示していると考えられます。

現代の糖質摂取量は多すぎる?

必要な糖質量と実際の摂取量

血糖値の維持に必要な糖質量は、成人男性で約100〜130g、女性で約100g前後とされています(肝臓での糖新生を含めれば、さらに少なくても生きていけます)。

しかし、一般的な「バランスの良い」とされる献立(ご飯1膳150g+味噌汁+主菜+副菜)だけでも、糖質は軽く50〜60gを超えます。
1日3食では必要量を大幅に超過します。

糖新生という仕組み

糖質を食べなくても、体はアミノ酸や脂肪酸から糖を作り出す「糖新生」という機能を持っています。
これは脳や赤血球など、糖質しか使えない器官にエネルギーを供給するための重要な仕組みです。

まとめ|糖質依存から一歩抜け出す

狩猟民仕様の体を思い出す

現代人の体は、依然として狩猟採集時代の設計を引き継いでいます。
糖質はあくまで補助燃料であり、脂質を主要燃料として効率よく使うほうが、進化の歴史に沿っています。

表で整理

項目狩猟採集時代農耕時代(現代)
主な燃料脂質糖質
糖質摂取頻度低い高い
エネルギー貯蔵脂質が大容量脂質は多いが糖質過剰
血糖値制御上げるホルモン多数下げるホルモンはインスリンのみ
体の設計脂質メイン糖質依存を強いられる

私見ですが、現代人は糖質依存から少しでも脱却したほうが、健康にも体調管理にも良いと感じます。
「糖質は必須」という固定観念を見直し、自分の体の仕組みに合った食事を意識してみてはいかがでしょうか。

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