はじめに|なぜ72時間断食に挑んだのか
16時間断食は、もはや日常になっていました。
24時間食べない日も「少し空腹だな」と思う程度で、特に苦もなく過ごせるようになっています。
48時間断食は、今回がほぼ初めてでした。
正確な記録は残していませんが、これまでに36〜40時間程度なら経験があったと思います。
ただ、その範囲はある程度想像がつくものでした。
だからこそ、その先に何があるのかを知りたくなりました。
3日間、何も食べなかったら自分はどうなるのか。
どんなことを感じ、何を考えるのか。
「食べないこと」は、自分と向き合う時間になるのではないか――そんな予感があったのです。
もうひとつの理由は、筋トレの停滞です。
最近は記録が伸び悩んでいて、どこかに新しい刺激が欲しいと感じていました。
身体の内側からリセットされるような感覚があれば、良いカンフル剤になるのではないかと。
そして、これは少し変わった動機かもしれませんが、“もしもの時”のために、食べずに過ごす経験をしておきたいという思いもありました。
サバイバル、災害、孤立、旅先でのトラブル…。現代では非現実的に聞こえますが、そんな状況で「3日くらい食べなくても大丈夫」という経験があるかどうかで、安心感は違う気がしていたのです。
こんな人に向けて書いています
- 断食に興味はあるけれど、72時間なんて本当にできるの?と感じている人
- 16時間・24時間・48時間とステップを踏んできて、次のフェーズに進みたいと思っている人
- 健康や集中力のためだけでなく、自分と向き合う時間をつくりたいと思っている人
- 食との関係を見直したい、もっとシンプルに暮らしたいと感じている人
- 「一般人なのに72時間断食なんてしてるの!?」と思った人
※この記事は、筆者の体験を記録・共有するものです。医師の監修を受けたものではなく、健康状態や体質によってリスクもあるため、実践する際はご自身の判断と責任でお願いします。
前準備|どうやって72時間に備えたか
今回の72時間断食は、いきなり挑戦したわけではありません。
少しずつ「食べない」ことに体を慣らしてきた、その延長線上にありました。
💡 16時間〜48時間断食までのステップや、それぞれの感覚の変化については、以下の記事で詳しく書いています。
糖質については、何年も前から制限を意識してきました。
健康オタク活動を始めた当初、自分が糖質をうまく処理できない体質らしいと気づき、そこから少しずつ糖質を減らしてきたのです。
ここ2年ほどは、米やパン、麺などの主食は基本的に抜く食生活がベースになっています。もちろん、たまの外食や息抜きでは普通に食べることもありますが、普段は“ケトン寄り”の食事が中心です。
最近の糖質摂取といえば、プロテインに加えていたバナナやブルーベリー、調味料に含まれるケチャップやソースの糖分、そして時々の飲み会くらいでした。
添加物の排除も意識してはいますが、まだ完全ではありません。
特にドレッシングや調味料は、冷蔵庫に残っているものを使い切る方針で、断食直前まで使っていたものもあります。
最後の食事は木曜16時。
鰻の白焼き、スクランブルエッグ、プロテインという、消化がよく高タンパクな組み合わせにしました。量も控えめにし、“これで72時間いくぞ”というモードに切り替えます。
断食中は塩と水分の摂取が命綱です。
今回は以下のドリンクで乗り切りました。
- 塩レモン炭酸MCTドリンク(自作)
- ルイボスティー
- スタバのデカフェアイスコーヒー(気分転換用)
特に印象的だったのは、金曜朝にMCTオイルを入れすぎて腹を下したことです。
数回トイレに駆け込む羽目になりましたが、「今、胃腸が完全に空になったんだな」とはっきり実感できたのは大きかったです。
こうした準備と下地があったからこそ、72時間断食でも空腹に苦しむことはありませんでした。
むしろ「食べない」ことを、ある種の“モード”として楽しめていたように思います。
72時間の推移|静かに変化していく体と心
0〜24時間|日常の延長にある“軽さ”
初日は、正直なところとても楽でした。
むしろ体が軽く、集中力もあり、日中の作業も普段どおりこなせました。
断食というよりは、「いつもより少し引き算をした日」という感覚です。
特に大きな空腹や不調もなく、淡々と過ごせました。
24〜48時間|無敵感と落ち着きのあいだで揺れる
2日目の朝、36〜40時間あたりで不思議な感覚がありました。
頭の中にモヤがまったくなく、驚くほどスッキリしています。
アイデアや、これからやりたいことがどんどん浮かんでくるような“無敵モード”に入ったような感覚でした。
ただ、その後45時間前後に外を歩いた際、炎天下でエネルギー切れを感じました。
体がついてこない感覚があり、すぐに水分と塩分を摂って、昼寝でリカバリーしました。
この時間帯が、今回の中で唯一「少しキツかった」と感じた場面だったと思います。
それでも、心の内側は終始落ち着いていました。
どこか穏やかで、他人や自分に対して優しくなれているような感覚が続いていました。
48〜72時間|思考が静まり、余計なものが消えていく
3日目になると、集中力の質が変わりました。
“無敵感”のような高揚ではなく、もっと静かで澄んだ感覚です。
余計なノイズがなくなり、思考が自然と一点に集まっていきます。
心も穏やかで、感情の波が驚くほど小さくなります。
何かに追われることも、イライラすることもなく、「今ここ」に意識を向けることが、こんなに楽だったのかと気づきました。
ただ、48時間を超えた直後の数時間だけは、少し違いました。
空腹ではないのに、食欲が頭を支配し始め、「そろそろ回復食、何を食べようか?」と考えてしまいます。
気づけばYouTubeで「断食明けの食事」や「最強の回復飯」といった動画をいくつも見ていました。
この“情報の暴食”のような状態も、ある種の反動なのかもしれません。
それでも、一晩経つと再び思考は静かになり、心も落ち着きを取り戻しました。
そして驚いたのは、肌の変化です。
3日目の朝、鏡を見て「えっ、肌きれいじゃない?」と素直に思いました。
毛穴が目立たず、ハリとツヤが出ているような気がします。
これも“ゼロになる”過程の一部なのかもしれません。
回復食|食べると、感覚は戻ってくる
72時間ぶりの食事。
今回は気合いを入れて、いつもより丁寧に調理し、盛りつけにもこだわりました。
どんな順番で食べるか、栄養成分はどうかまで考え、準備にも時間をかけました。
自分の中で、これは一つの節目でもあったのです。
用意したのは、鰻・マグロ・クジラ・カツオといったたんぱく源に、キャベツ、味噌汁、じゃがいも、梅干し。
断食明けの栄養補給としても、気持ちの切り替えとしても、ちょうどいいラインナップだと思いました。
しかし、実際に食べてみるとすぐにわかりました。
食事を抜いた分だけ多く食べられるわけではありません。
胃は空っぽだったはずなのに、思ったほど量は入りませんでした。
むしろ、想像より早く「もういいかも」という感覚が訪れたのです。
もちろん味はおいしく感じられ、味覚は鋭くなっていたと思います。
けれど、それ以上に印象に残ったのは、食後に身体の“ほわほわ”とした感覚が消えたことでした。
断食中は、頭の中が静かで、感情もフラットで、身体全体がふわっとしていました。
でも食後は、その静けさが一気に引いていったのです。
感覚が「戻ってきた」というよりも、「引き戻された」ような印象でした。
得た気づき|“引き算”が教えてくれること
72時間断食を通して、一番大きく感じたのは「心の静けさ」でした。
頭の中がクリアになり、物事を冷静に見つめられる。体は軽く、感情も落ち着いていて、自分の中の“揺れ”が少ない状態がとても心地よかったです。
この静けさこそが集中力の源であり、行動や思考の質を底上げしてくれるのだと実感しました。
途中経過で行った48時間断食でも似た感覚はありましたが、72時間になるとさらに一段深まる感覚がありました。
より静かに、より穏やかに、そして人にも自分にも優しくなれる。集中力も一点に定まりやすくなる――この「深さ」の違いは、実際にやってみないとわからなかった部分です。
一方で、初挑戦ならではの反省もありました。
特に回復食では、せっかく準備したからと盛りすぎてしまい、欲が出てしまったこと。
次回は断食だけでなく、回復食までを一つのセットとして考え、スケジュールや内容も丁寧に組みたいと思います。
今回の72時間は、在宅勤務で余裕のある金曜と、完全オフの土日という条件があったからこそ実現できました。
次はしばらく間を空ける予定ですが、48時間断食は月1ペースで続けても良さそうです。
予定のない週末に行えば作業に集中でき、食費も抑えられ、さらに断食明けの“ご褒美ごはん”を楽しめるというおまけ付きです。
16時間断食や24時間断食は、これまで通り日常に組み込んでいく予定です。
すでに習慣として定着していますし、自分の体にも合っていると感じます。
また、今回の経験で「食に振り回されない」意識がより強くなりました。
もちろん食事は大きな楽しみですが、それに支配されないほうが日々はずっとシンプルになります。
そして意外だったのは、見た目の変化です。
顔のむくみが取れ、目が開きやすくなり、鏡に映る自分のコンディションが明らかに良くなっていました。
これは断食の即効性ある効果の一つかもしれません。24時間断食でも十分に体感できるので、一度試す価値はあると思います。
最後に思ったのは、「人間は水と塩さえあれば、案外生きられる」ということ。
体感的には4日間ほどなら問題なさそうでした。もちろん無理は禁物ですが、“食べなくても平気だった経験”があることで、日常に静かな安心感が生まれるように思います。
おわりに|“食べない時間”が教えてくれたこと
3日間、何も食べずに過ごしました。
数字だけ見るとストイックな挑戦のようですが、実際は驚くほど穏やかで、快適で、集中できる3日間でした。
断食好きとしては、かなり満足度の高い実験だったと思います。やってよかった――これは間違いありません。
とはいえ、やり残した部分もあります。
特に回復食は、気持ちが舞い上がって準備をしすぎました。
「心が穏やか」とか言っておきながら、断食明け直前には全然穏やかではなかったのは素直に反省すべき点です。
効果については、すぐに目に見える変化だけでなく、あとからじわじわ効いてくるものもあるはずです。
たとえば筋トレ。今は栄養の吸収率が上がっていて、バルクアップが捗る予感しかありません。
プロテインも筋肉も「待ってました!」という勢いで吸収されている…はずです。
ちなみに、この記事を書いているのは断食終了の翌日です。
朝は少しだるさを感じましたが、おそらく回復食と夜の食事がやや重かったせいでしょう。
断食明けは、食べる量やタイミングをもっと慎重に考える必要があります。消化能力の低下や胃の縮小には注意したいところです。
それでも今は非常に調子が良く、仕事にも集中でき、体力も十分にあります。
そして、目が相変わらずパッチリしているのが面白いところ。
もしかすると、これは顔のコンディショニングにも使えるのかもしれません。
✴ 次回予告|“再び食べない3日間”は、もっと計画的に、もっとスマートに。
次にやるときは、回復食まで含めてしっかり完結させたいと思います。
そのうえで、最後までやりきったときに、自分の中にどんな静けさや変化が残るのか――
それを確かめられるのが、今から少し楽しみです。
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