【第一弾】16時間断食|空腹の先にある軽さと集中

筋トレと健康

はじめに |「朝は必ず食べなきゃ」は思い込みだった

朝ごはんは必ず食べるもの——そう信じてきた。
小学校の頃から「朝食は1日の元気の源」と教えられ、空腹かどうかに関係なく、
毎朝なにかを口にしてきた。
「食べなきゃ元気が出ない」と、本気で思っていた。

そんな自分の考えを大きく揺さぶったのが、
デイブ・アスプリーさんの『最強のファスティング』という本だった。
彼が提唱する「朝はバターコーヒーだけでいい」というライフスタイルを読んだとき、
正直、最初はこう思った。
「いやいや、それ栄養足りないでしょ」と。

でも、ちょっと試してみたくなった。
そして、実際にやってみたら、意外にも頭が冴えて、身体も重くならなかった。

「空腹でもパフォーマンスは落ちない」という感覚に初めて気づいた瞬間だった。

それ以来、健康やパフォーマンスを高めるための“ライフハック”や、
“自分の身体での実験”にハマるようになった。
朝食を抜くことも自然になり、
今では16時間断食(いわゆる16:8ファスティング)が日常になっている。


この記事はこんな人に向けて書いています

  • なんとなく朝ごはんを食べているけど、実は空腹じゃない人
  • 午前中に集中力が落ちてしまう人
  • 食後のだるさや、食べすぎによる不調を感じている人
  • 無理な制限ではなく、生活リズムを整えて自然に身体を引き締めたい人
  • 断食やファスティングに興味があるけど、ちょっと怖い人
  • パフォーマンスや健康を整えるために、日々の食事や習慣を見直したい人
  • ライフハックや健康習慣に興味がある人、自分の体で色々試すのが好きな人
  • 16時間断食(いわゆる16:8ファスティング)に興味がある人

朝に無理に食べなくてもいいんじゃないか?

朝、お腹が空いていないのに、とりあえず何かを食べる。
昔の自分は、ずっとそうだった。

「朝ごはんは一日のエネルギー源だから絶対に食べなきゃダメ」
小学校の頃から刷り込まれてきたこの常識を、何の疑いもなく信じていた。

実際には、前日に食べすぎた日や、二日酔いで気分が悪い朝でも、とにかく何かを口にしていた。
体は正直に「いらない」とサインを出していたのに、
“朝=食べるもの”という思い込みが強すぎて、その感覚すら無視していた。

ふとある日、
「これ、本当に必要か?」
と思った。

朝起きたとき、正直言ってそんなに空腹感はない。
でも、それに気づく前に、習慣でトーストやヨーグルトに手が伸びていた。
「お腹が空いていないこと」そのものに気づいてすらいなかった。

それってちょっと不自然じゃないか?

実際、朝ごはんを抜いてみると、思ったほどつらくない。
むしろ身体が軽くて、頭が冴える感覚があった。

ここで言いたいのは、「朝食を食べるな」とか「断食しろ」ということではない。
ただ、なんとなく習慣で食べているだけなら、
一度、食べない朝を試してみてもいいんじゃないかと思っている。

「空腹で過ごす朝」には、意外なメリットがあるかもしれない。

「食べない」ことの理屈は意外とシンプル

朝食を抜いてみて気づいたのは、
「これ、意外と理にかなってるんじゃないか?」という感覚だった。

実際に調べてみると、人間の体には1日の中に“リズム”があると言われている。
たとえば、朝・昼・夜をそれぞれこう捉える考え方がある。
• 朝(4時〜12時):排泄の時間
• 昼(12時〜20時):摂取の時間
• 夜(20時〜4時):吸収・代謝の時間

つまり、朝は“食べる”よりも“出す”時間だということ。

ここで無理に食事を詰め込むと、
消化器官がフル稼働しっぱなしになって、本来の排泄リズムが乱れる可能性がある。

さらに言えば、朝にドカッと糖質を摂ると、
インスリン(血糖値を下げるホルモン)が一気に分泌されて、
その反動で急に血糖値が下がってしまい、眠気やだるさにつながることもある。

また、朝は交感神経(=活動モード)が優位になる時間帯なのに、 消化にエネルギーを使うと、
自律神経が乱れやすくなり、“なんとなくぼーっとする朝”を引き起こしていることもある。

こういったことを知らずに、
「とりあえず朝だから食べる」という習慣だけで動いていた自分は、
体にとってあまり嬉しくないことをしていたのかもしれない。

逆に、朝に何も食べず、内臓を休ませた状態で午前中を過ごすと、
体の芯が軽くなったような感覚があって、頭の回転も明らかに良くなる。

あくまでこれは自分の体感だけど、
理屈と照らし合わせると、「あ、だからなんだ」と納得できた。

進化と食の歴史から見る“空腹の自然さ”

空腹を感じると、「やばい、何か食べなきゃ」と思ってしまう。
でも、その感覚って、本当に“異常事態”なんだろうか?

調べてみると、人類の長い進化の歴史の中で、「1日3食」が定着したのはごく最近のことだとわかる。

人間が狩猟採集をしていた時代、食べ物は毎日あるとは限らなかった。
それこそ“食べられる時に食べる”というのが自然な状態だったはずだ。

1日3食が当たり前になったのは、農業の発展や学校・労働制度の整備とセットで広まったここ数百年の話にすぎない。
現代のように、朝昼晩きっちり食べることができるのは、文明の進化のおかげでもあり、裏を返せば“ちょっと特殊な状態”とも言える。

にもかかわらず、「空腹=異常」「朝食を抜く=不健康」という考え方が当たり前になっている。

でも、体のしくみはそんなに急には変わらない。
20万年の進化の中で、“空腹に耐える身体”として設計されてきた人間にとって、空腹な時間があること自体は、むしろ自然なこと。

実際、戦時中や非常時のように食糧が不足していた時代でも、人間は空腹を抱えながらも仕事をこなし、日常生活を送っていた。
もちろん、それが理想の状態とは言わない。
でも、「食べないと動けない」という思い込みが、いかに現代的な錯覚なのかは、こうした状況を見てもよくわかる。

それに、現代でも“一日一食”を実践している人たちは意外と多い。
たとえばアスリートの武井壮さんは「食べないと力が出ないって誰が決めたの?」と語り、一日一食で高いパフォーマンスを保っている。

ビジネス界でも、集中力を高めるために朝食をあえて抜く人は珍しくない。
“空腹が力を引き出す”という感覚は、むしろ今の時代でも実感されている現象なのかもしれない。

実際、空腹な時間が続くと、「オートファジー」と呼ばれる体内の再生プロセスが活性化することも知られている。
(※オートファジー=細胞の中の古いタンパク質などを分解・再利用する仕組み)

「空腹=危険」ではなく、「空腹=メンテナンスタイム」と捉えるくらいの感覚のほうが、実は体に合っているのかもしれない。

最初に感じる空腹感は「体の悲鳴」ではない

朝ごはんを抜いてみると、多くの人が最初に感じるのが「空腹感」だ。
当然、僕自身もそうだった。

でも今は思う。
あの空腹感って、体の悲鳴じゃなくて“ただの習慣の反動”だったんじゃないか、と。

何十年も「朝になったら何かを食べる」というリズムで生きてきた体が、
急にその習慣から外れると、「あれ?今日は食べないの?」と戸惑うのは当たり前だ。

体が何かおかしくなっているわけじゃない。
むしろ、正直に“変化に気づいて反応している”だけ。

問題は、その違和感をどう受け止めるかだと思っている。

多くの人は、「あ、これはよくない」「やっぱり朝は食べないと」と判断して、元に戻してしまう。
そこで“やっぱ無理だった”と結論を出してしまう。

でも僕は、「これは単なる慣れの反動かもしれない」と考えるようにして、一度だけ続けてみることにした。

すると、不思議なことに、2日目・3日目と進むにつれて、
空腹が「危険信号」ではなく、“ニュートラルな感覚”として受け取れるようになってきた。

空腹は決して敵じゃない。
むしろ、ちゃんと観察すれば、体がリセットしようとしているサインにも思えてくる。

実は、最初から“完全な空腹”ではなかった

正確に言えば、僕は朝に「バターコーヒー」を取り入れていた。

これは、シリコンバレーの起業家デイブ・アスプリーさんが提唱しているもので、
グラスフェッドバターとMCTオイルを混ぜた一杯のコーヒー。

当時読んだ『最強のファスティング』という本でこの存在を知り、
試しに作ってみたのがきっかけだった。

脂質しか入っていないため、インスリンの急上昇を抑えつつ、エネルギー感はちゃんと得られる。
結果として、胃腸は動かさずに、頭と体だけがシャキッと動くという不思議な状態がつくれた。

このバターコーヒーがあったからこそ、
空腹と向き合うことに対する“恐怖”や“不快感”を最小限に抑えられたと思っている。

この「空腹との付き合い方」の感覚が整ってからが、
僕にとっての本当の意味での16時間断食のスタートだった。

初日〜3日目|空腹との向き合い方

16時間断食を“正式に”始めた初日。
とはいえ、朝はすでにバターコーヒーだけで過ごす習慣があったから、
完全な「ゼロからのスタート」という感覚ではなかった。

それでも、やっぱり最初の1日は、時間の流れがいつもよりゆっくりに感じた。

朝のうちはまだ余裕がある。
けど、11時前後になると“そろそろ食べる時間”という感覚が体に残っていて、なんとも言えない落ち着かなさがあった。

「あと1時間で食べられる」とわかっていても、
その“待つ時間”に意識が向いてしまい、
逆に空腹感が強く感じられるのは面白いなと思った。

2日目は、バターコーヒーのありがたみを改めて実感した日だった。
頭は冴えているけど、身体はまだ“食べてないことへの違和感”を微かに残している。
それでも、「これ、意外とイケるかもしれない」という手応えがあった。

3日目になると、明らかに感覚が変わってくる。

空腹を感じても、慌てなくなる。
むしろ、「この空腹感、ちょっと心地いいかも」と思えるようになっていた。

特に感じたのは、“身体が軽い”という感覚の定着。
午前中に何も食べていないぶん、頭がスッと働く。
朝の作業に集中できる。
なにより、食後のだるさや眠気がないというのがこんなに快適なのかと驚いた。

この時点で、「これ続けられそうだな」という気持ちが生まれていた。

そして、もうひとつ強烈に感じたことがある。

ランチがめちゃくちゃうまい。

いつも食べていたメニューなのに、味覚の感度が研ぎ澄まされているのか、
なんというか、“本当に食べたかったものが体に入ってくる”感じがする。

空腹で待った分だけ、ごはんの価値が跳ね上がる。
この感覚は、16時間断食をやってみた人だけが味わえるご褒美かもしれない。

4日目〜1週間|軽さと集中の定着

4日目に入ると、朝の空腹にいちいち反応することがなくなっていた。

…というより、正確に言えば、最初からお腹が鳴ること自体ほとんどなかった。
すでにバターコーヒーを取り入れていたこともあって、
身体も空腹に慣れていたし、もともと間食の習慣もほとんどなかった。

朝は水を飲んで、コーヒーをゆっくり飲む。
そして、淡々と作業に入る。

そんな流れが、気づけば自然になっていた。

特に印象的だったのは、朝の集中力の高さ。
この頃ちょうど、TOEICの勉強に取り組んでいて、朝の時間を使って毎日シャドーイングやリーディングに取り組んでいた。

結果、スコアが一気に伸びた。

体力的な疲労が少ない状態で、静かな空腹とバターコーヒーのエネルギー感だけで朝を過ごすと、
脳が静かに冴えるような感覚があった。

今思えばあの集中力は、明らかに食べない時間をうまく使えていたからこそ得られたものだと思う。

午前中はサッと作業に入りやすくなり、
午後もなんとなくの“だるさ”が減っていた。
昼食の内容は変えていないのに、昼食後に眠くなる感覚がなくなっていたのが面白かった。

この頃には、空腹に対する感覚もすっかり変わっていた。
「お腹が空いている=危機」ではなく、
「軽く整っている状態」くらいの感覚になっていた。

さらに言えば、これは体感だけではなく、ホルモンレベルの変化も関係しているのかもしれない。

たとえば、空腹を感じさせるホルモン(グレリン)と、糖質による血糖値の乱高下の関係。
糖質を多く摂ると血糖値が乱れやすくなり、
“食べたのにすぐお腹が空く”という状態が常態化しやすくなる。

逆に、しっかりと空腹の時間をつくることで、このホルモンの波が落ち着いてくるとも言われている。

※このあたりの仕組みについては、また別の記事で詳しくまとめる予定です。

この1週間で、「朝ごはんって本当に必要だったんだっけ?」という考えは、
いつの間にか自然に薄れていった。

気合いも無理もいらなかった。
ただ、「食べない朝」が、静かに“当たり前”になっていった。

習慣化して見えたもの|空腹との新しい付き合い方

気づけば、空腹は特別なものではなくなった。

むしろ、空腹を感じていないときの方が「お腹に何かが残っている違和感」のように思えてきて、
軽くて集中できる状態が、自然なコンディションになった。

それに、以前よりもエネルギッシュに動けるようになった感覚がある。
空腹を保っている方がむしろ軽く、頭もスッキリしていて、
「あ、今までは食べ物の消化にエネルギーを使いすぎてたんだ」と体感できた。

体重の大きな増減はなかったけれど、
明らかに「ちょうどいい体」に自然と調整されていく感じがある。
暴飲暴食の頻度は激減したし、間に合わせの食事——
たとえば牛丼屋に駆け込むようなこともなくなった。

食事に対する姿勢が変わったのだと思う。

「今日はこの2回の食事しかない」と思うと、
一食一食がとても大切に思えてくる。
だからこそ、ジャンクフードや適当な間食に対して自然と距離を置ける。

そして何より、朝食を準備・摂取・片付けする時間がまるごと空くことで、
朝の時間に余裕ができ、心にも余裕が生まれた。
仕事の前にピリピリしなくて済むし、
「朝食、何にしようかな」と毎日考える時間も不要になった。
この“脳のメモリ開放感”は、想像以上だった。

「朝食を抜いた分を、取り返さなきゃ」は逆効果

ただ、ひとつ補足しておきたいのは、
「朝食を抜くなら、その分を昼と夜で取り返さなきゃ」と考えて、ドカ食いしてしまうのは本末転倒だということ。

16時間断食の価値は「内臓を休ませること」にあるのだから、
次の食事で一気に詰め込んでしまえば、
かえって消化に負担をかけてしまう。

そもそも、“3食きっちり”の基準自体が、現代のライフスタイルに合わせて作られた文化的なものであって、進化の観点からすればむしろ例外的ともいえる。

2食で食事回数が減ったからといって、
カロリーや栄養を「足し算で補う」という発想はあまり必要ない。
実際、僕の体感では、体は本当に必要な分だけを求めてくるようになり、
食べすぎていたころの感覚から徐々に抜け出すことができた。

「抜いたぶんを補う」ではなく、「今の自分に必要な量を見極める」それが、断食の本質に近い。

もちろん、極端に食事量が少なすぎるのは問題だし、
必要な栄養が足りていないと感じるなら、意識的に摂る必要もある。
でも、毎回“カロリー”を気にしすぎてストレスになるくらいなら、
体の声に耳を傾けながら、自然と整えていく方が続けやすい。

食事の回数を減らしたからこそ、
“足し算”ではなく、“精度”を意識するようになった。
それだけでも、断食には大きな意味があると思っている。

おわりに|食べないことで、自由になる

「朝ごはんを食べないなんて、不健康じゃないの?」
昔の自分なら、きっとそう思っていた。

でも今では、“食べない”という選択が、これほどまでに自由をもたらすとは思っていなかった。

空腹の時間を自分でコントロールできるようになると、

  • 朝の時間に余裕ができる
  • 集中力が増す
  • 食事に感謝できる
  • 自然と体が整っていく

こうした変化は、単なる「ダイエット」や「健康法」の枠を超えて、
生き方そのものの最適化につながっていると感じている。

もちろん、最初は少し勇気がいる。
慣れた習慣を崩すのは、誰にとっても不安なことだ。

けれど、「空腹は我慢ではなく、自然な状態なんだ」と理解できたとき、
自分の体との付き合い方がガラッと変わる。

「食べる自由」と同じくらい、「食べない自由」もあっていい。

16時間断食は、誰にでも始められるシンプルな習慣のひとつ。
もしあなたが少しでも「自分の体を整えたい」「集中力を高めたい」と感じているなら、
まずは“食べない”という選択肢を試してみるのもいいかもしれない。

✴ 次回予告|もっと“空腹”と仲良くなるために

今回紹介した「16時間断食」は、あくまで“入り口”にすぎません。
僕自身、そこからさらに実験を重ね、次のようなアプローチにも挑戦しています。

  • 24時間断食(=1日1食)
    • 空腹時間を1日しっかり確保し、消化負担を極限まで減らす。
  • 48時間断食(=完全に食べない日を2日間)
    • 体内の炎症や老廃物を一気にリセットし、頭と体をチューニング。
  • 72時間断食(=完全に食べない日を3日間)
    • 体の奥底に溜まった“余分”を徹底排出。
    • 空腹のピークの先にある“静けさ”と“研ぎ澄まされた感覚”を体験。
  • 断糖(=糖質を極限までカット)
    • ケトン体によるブレない集中力。
    • テストステロンの最適化も狙える新たなステージ。

これらすべて、僕自身の体を使って試したリアルな体験。
それぞれのフェーズで感じたことや成果は、シリーズとして今後の記事でじっくり書いていきます。

「空腹」と「自由」
この関係に少しでもピンときた方は、ぜひ次回以降も読んでみてください。

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